2008年6月8日日曜日

2008/6/7-8 南八ヶ岳縦走

このサイトの更新間隔が長すぎて、チェックする気がしないととある人に指摘された。このサイトってRSSフィードには対応していないのかな。無料だから使っているだけなので、詳しいサイト仕様については分かりません・・・すいません。

そもそもタイトルに「不定期更新」と書いているくらいなので、気が向いた時に書けばいいやと考えていたのだが、チェックしてくれている人がいるというのはありがたいことだ。そうした人達の期待を裏切りたくないという気持ちは特にないが、先週末に八ヶ岳に遊びに行ったのでそのことについて書きます。

「八ヶ岳」という名前は一般的に知られているが、実は特定の山の名前ではない。

長野県と山梨県の県境に位置する、南から編笠岳、権現岳、赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳、北横岳、蓼科山を含む大山塊の事を指す。大きくその真ん中にある夏山峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳に分類され、北八ヶ岳は穏やかな山容を持つ比較的緩やかな勾配の山々が多いのに比べ、南八ヶ岳は編笠岳、権現岳、赤岳、阿弥陀岳、横岳、硫黄岳ほぼ全ての稜線は険しく鋭い岩稜が続く厳しい山群だ。八ヶ岳の主稜は赤岳(2,899m) で赤岳及び横岳の頂上付近には日本屈指のクライミングスポットもいくつか点在する。

そんな八ヶ岳だが、私がテントを購入して一番最初に縦走(複数の山を稜線・尾根伝いに登り続ける事)を行った山でもある。関係ないが、登山がご趣味であらせられる、かの皇太子殿下も過去に南八ヶ岳縦走を達成しておられる。本当に関係ない。

今回再び過去に訪れたルートを訪れたのは、以前訪れた際に信じられない程の景色を目の当たりにして、軽いパラダイムシフトを体験したからだ。今までにあの時見た富士山ほど美しい富士山を見たことが未だにない(ちなみに私はこの富士山を見たときになぜか号泣した。後にも先にも何か景色を見て号泣したのはこのときだけだ。)し、横岳山頂から見た北アルプスの眺めには本当驚いた。八ヶ岳から槍ヶ岳が見えるなんて地理的に考えてあり得ない。いや見たのだからあり得るのだが、ガスが発生していたり、雲が邪魔をしていたりして、通常ではそんな眺めはお目にかかれないのだ。なぜそうしたすばらしい眺めを見ることができたかというと、前回訪れた時期がちょうど今回と同様梅雨の合間の晴天時で、ガスが発生するような気温でもなく、空気が非常に澄んでいたためだった。

今年は梅雨入りが早いとの事だったので軽く失望していたが、この週末はお天気アナが口をそろえて「梅雨の合間の・・・」と口にしていたので、これはもう一度あの景色を見に行くしかないだろうと考え、再び八ヶ岳にやってきた。

初日の目標は主稜、赤岳の麓にあるキレット小屋(通年営業停止)のテントサイトだ。新宿7時発あずさ1号に乗り込み、小淵沢8時50分。そこからタクシーで観音平まで行き、9時30分登山口からゆっくり歩き始めた。

前回来た時は初めての縦走という事もあり、荷物も何を持っていけば良いか分からず、むやみやたらにザックに放り込んだ結果、異常に重い荷物なってしまった。また精神的な重圧もあり最初の登りがものすごくきつかったのを覚えている。

前回みたいにきつかったら嫌だなあと考えていたが、いざ登り始めてみると、心も体も軽い。ゆっくりだが、最近お気に入りの曲などを口ずさんだりしているうちに、11時30分、最初の小屋である青年小屋にたどり着いた。ここまでは、日帰りで編笠岳に登りにくる登山者なども多く、小屋の前は多くの人で賑わっていた。

朝食が新宿駅の立ち食い蕎麦だけだったせいかこの時点で非常に腹が減っていたので、ここで昼食にすることにした。この日の昼はなんと駅弁「元気甲斐」(元気かーい?をもじったものだと思われます。元気です) 。山で駅弁!?って感じだが、小淵沢駅でこの駅弁を売っているのを見た時にビビビッときたので、この駅弁を買って山に持って行こうと決意したのだった。ビビビランチ。ま、登山口から青年小屋までは、その先のルートの事を考えればピクニックみたいな道だということが分かっていた事もあって、自由な気分になってたんですね。ちなみに「元気甲斐」は非常に美味しかった。

「元気甲斐」を食べ終わり、ベンチで寝そべったりしていたが、ここであまりだらだらしているとキレット小屋にたどり着けないかもしれない。1人気合いを入れ直し、キレット小屋に向かうことにした。

青年小屋からの登りをゆっくり登り始めて1時間ほどすると、徐々に南八ヶ岳の厳しい岩稜が顔を見せ始めた。 左の写真は権現岳の手前にあるギボシと言われる岩峰で、この岩峰を越えて権現岳に至る。「だんだん岩っぽくなってきたぞ」とわくわくしてきたが、天気が悪いのが気になる。梅雨の合間の晴天はどこに行ったんだろう・・・。

このギボシを越え、権現岳に到着した頃には前回のような景色には今回は巡り会えないことがはっきり分かった。天気予報をチェックすると曇りマークになっているし、目の前もほとんど雲で赤岳すら見えない。

右の写真は、権現岳山頂からこれから向かう赤岳方面を見つめながら、何も見えない・・・といじける私。しばらくいじけていたが、ここでいじけていても仕方がない。意を決してキレット小屋に向かうことにした。

権現岳から下り初めてすぐ、今回通りたくないなと思っていた場所の一つ。「長すぎる垂直はしご」にさしかかった。この長すぎる垂直はしご、前回通った時には本当に恐怖を感じた。こんなに長いはしごがあっていいんだろうか?足を踏み外したらもちろん一巻の終わりなのだが、私が怖いと思うのは高度以上に、このはしごがドリフのコントみたいに背中方向に倒れたら・・・うわああああああぁぁぁぁぁ!!!

ゴホン。今回もはしごは倒れませんでした。ので生きて帰ってこれました。

実を言うと八ヶ岳の主稜である赤岳に、今回私が通っているルートで行く人はほとんどいない。編笠岳や権現岳に行くのに観音平から入る人はいても、赤岳に行く人は私の少ない経験では会ったことがない。実際、今回キレット小屋のテントサイトでテントを張っていたのは私1人だ(怖いよ)。私は、このはしごがその一因なんじゃないかと思ったりしている。また、別の原因もあるのではと考えているのだが、それについても後述する。つまりこのルート、普通の人が通るには問題があるんじゃないかと思わざるを得ない箇所がいくつかあるのだ。ではなぜ私が最初の縦走でこのルートを選択したかというと・・・危なそうだったからだ(笑)。実際危ない。

コチラのルートにほとんど人がいない本当の理由は、赤岳に登るためには美濃戸口という茅野駅からとってもアクセスが良い登山口があり、ルート上の小屋も充実し、赤岳に登るだけならチョットきついが日帰りも不可能ではないルートがあるためなのだが、それにしても問題がありすぎる。

しかし私はこのルートが好きだ。人が少ないのがいい。正直言って岩稜の非常に厳しい箇所などで町内会のおばちゃんみたいな集団が、隣の奥さんの噂話的な調子でぎゃーぎゃー騒いでるのを見ると、それだけで私の中にある少年の冒険心が激しく削られる。私が危ないルートを選択しがちなのも、基本的に危ないルートは人が少ないというだけで、決して「アドレナリンが・・・」とか言う話ではない(と思っている)。

無事はしごを下り、しばらく岩稜の登下降を繰り返していると今回の目的である赤岳が見えてきた。右の写真の青線は8日に歩くルートで、キレット小屋は青い線がとぎれている所から急激に切れ落ちている下にある。赤線は翌日歩く道・・・道じゃない、壁だ。

すっきり赤岳が見えるようになったので、気分良く歩いて、15時30分。ようやく目的地のキレット小屋に到着した。前述の通り誰もいない。最高の場所を選んでテントを張った。天気が悪いのは悲しいが、今回はもうあの眺めは諦めよ
う。

テントを張る場所を赤岳が一望できる場所に決め、テントを張り、横になった。疲れていたため、1時間ほど寝てしまったが、その後目が覚め、夕食を済ませても全く眠くならない。横になると仕事の悩みが次から次へと湧き出してくる。「あの資料はこうした方が・・・」とか「あの人に次に任せる仕事は・・・」といった具合だ。考えるのを止めようとしても、止めようとするほどその事しか考えられなくなる。

仕事の事で頭が占領されて眠れないとなると、次の日の行動に大きく影響が出てしまう。明日は赤岳直下の絶壁を登らなければならない。睡眠不足で臨みたくはない。考えた末、私が漫画「美味しんぼ」で学んだとっておきの方法を試すことにした。その方法とは「何かで悩んで眠れない場合、別のことで悩んだり考え込んだりするといつの間にか眠ることができる。」というものだ。何で悩んでみるかと考え、自分の今後の人生について悩んでみるかと思ったが、よけい眠れなくなる可能性大だ。どうでもいいテーマで考えてみようと「自分がもし家を買うとしたらどんな間取りの家にして、どんな家具を置くか」というテーマで考える事にした。そして考え始めるとすぐに寝れた。山岡さんありがとう。

翌日目を覚まし、朝食を済ませ、テントを畳み、いよいよ今回の縦走の核心部、赤岳直下の壁登りに向かった。前回は、朝食に増えるワカメと餅を大量に投入したこの世のモノとは思えない程まずいラーメンを作ってしまい、残すわけにもいかずに汁まで完食した結果、あの絶壁の途中で何度もワカメ入りの吐瀉物をまき散らす羽目になってしまった。そのせいかどうか分からないが、あの絶壁の途中で強い恐怖と不安感を感じた記憶がある。今回はそんな事のないように朝食はカロリーメイトだけにしておいたので大丈夫なはずだ。

歩き始めると徐々に傾斜がきつくなってきた。壁にとりつき、よじ登り始めてしばらくしてから下を見るとやはり怖い。この怖さが単純に高度と斜度によるモノなのか、もし墜ちて大怪我をしても誰もいないため発見されずに死んでしまうんではないかという不安からくるモノなのか分からなかったが、びくびくしても仕方がないので、壁の途中で「前回のワカメは・・あるわけないよな」などと心の中で軽い冗談を言うことで気持ちを軽くし、ひたすら上を目指した。

壁を登りきればあとは稜線伝いに頂上を目指せばいいのだが、この稜線歩きも普通とはチョット違う。カミソリの刃の上を歩くような箇所ばかりで、全く気が抜けない。気が抜けないので写真もない。冷や冷やしながらようやく頂上に到着した。

(天気が悪すぎる・・・。ちなみにこの文章を書いているのは6月14日なのだが、この週末は本当に天気がいい。今日は丹沢に行って塔ノ岳の頂上でビールを飲んで帰ってきたが、気持ちよかった。八ヶ岳は今週にするべきだった・・・。悔やんでも仕方がないのだが、写真を貼り付けて、そこに写る天気の悪さに悔しくなってつい愚痴ってしまいました。 )

ま、このときは天気は悪いがそれなりの爽快感を味わっていた。しばらく頂上でぼけーっとして、さてこれからどうするかと考えた時にふと、今日クリーニング屋にワイシャツを取りに行かないと、来週はあまり気に入っていないワイシャツのローテーションに入ってしまうことを思い出した。ここ最近忙しく、平日にクリーニング屋に行くことができないため、チャンスは土日しかないのだ。ムムムとしばらく考え、下山することにした。

前回はここから横岳と硫黄岳を経て下山したが、今回は途中にある雪渓がまだ大きく、アイゼンがないとトラバースが危険という赤岳頂上小屋の親父のアドバイスを聞いたこともあり、アイゼンを持ってきていなかった私は頭を180度ワイシャツ方面に切り替えることに成功した。

クリーニング屋の閉店時間、20時までに自宅に到着することだけを考え、崖を下り、まだ雪が残る森の中をひたすら歩いた。途中寄り道してアイスクリームを食べたりしたが、基本的には私は目標を定めたらそれに向かって一直線に向かうタイプだ。登山口に到着すると同時にタクシーが迎えに来れるように、途中の山小屋でタクシーを手配してもらうと、登山口で本当にジャストインタイムでタクシーが来た。事情を話し(話す必要は本当はないが)JR茅野駅まで飛ばしてもらい、駅についてすぐにあずさに飛び乗った。

新宿に到着したのが18:05。この分なら間に合いそうだ。家に到着して登山靴を脱ぎ、サンダルでクリーニング屋に走り、無事に間に合った。今週もお気に入りのワイシャツを着て仕事ができそうだ。・・・・よく考えれば山で仕事関係の事ばっかり考えていたな。ま、それはそれでいいか。

おまけ。部屋とワイシャツと私。