右の写真の右の靴がそのソールがはがれた靴(Merrell Switchback Goretex)で、左の靴が新しい靴(Scarpa Summit Lite GTX)。今回購入した靴はスーパーハイスペック。12本爪のワンタッチアイゼンも装着可能でソールの張り替えも可能な本格派だ。その代わり、前の靴にあった柔らかさや軽さはない。とにかく堅く、手でひねった位ではびくともしないし、実際に履いて全体重を乗せてつま先立ちしてみても、全くソールが曲がらない。雪渓の上でアルペン踊りを踊っても怖くない!・・・はずだ。そんなことしないけど。
買ったのはいいが、小川山やフリーのジムに行くのに忙しくて、こいつの試し履きを全くできないでいたため、この3連休を使ってこいつの初陣を飾ってやることにした。 さてどこにするかと考えた末、谷川岳に行くことにした。理由は簡単。日本の岩登りシーンを飾る数多くのエピソードを持つ、一ノ倉沢衝立岩をこの目で見たいと以前から考えていたためだ。エピソードに興味があるかたは自分で探してみてください(汗。いずれ所属する会でこの谷川岳の衝立岩を登ることになるだろう。その前に自分の目でどのようなところかどうしても確かめておきたかった。3連休なので、たっぷり2日かけて谷川連峰馬蹄形縦走をすることにしたので、順調にいけば谷川岳東面に位置する絶壁をこれでもかというくらい堪能することができるだろう。ただし見るだけ。
上の写真の「現在地」が登山道入り口。ここから反時計回りに白毛門、笠ヶ岳、朝日岳、清水峠、七ッ小屋山、蓬峠、武能岳、茂倉岳、一ノ倉岳とぐるっと谷川連峰を歩き、最後に谷川岳の頂に立つのが前述の谷川岳馬蹄形縦走だ。一日目の目的地は馬蹄形の頂点にある清水峠で、ここでキャンプを張る予定を立てていた。ここまで来て気合いが入らないなどと言っていてもしょうがないので、靴の紐を締め直し、ゆっくり登り始めた。この白毛門(しらがもんと読みます)登山口から清水峠までは標準コースタイムで8時間超。登山口出発が10時30分なので、常識的に考えれば清水峠に日のあるウチに到着するのは無理なプランなのだが、私は自分の体力を過信して「ま、なんとかなるだろう」と軽い気持ちで登り始めたのだった。
急登を歩き始めて、30分を経過した頃、足に異変を感じ始めた。妙に踵に靴があたる。これはマズイと思い、靴を脱いで踵にテーピングを巻き、先を急いだ。こんなところでもたもたしていたら、とてもじゃないが清水峠に到着できない。白毛門を超え、朝日岳まで登り切ってしまえば、後は穏やかな稜線歩きのはずだ。そこまでは多少足が痛くても、我慢してたどり着かなければならない。我慢して再び歩き始めたのだが、踵の痛みが強烈で、とてもいつものペースで歩けない。おまけにガチガチに堅いソールのおかげでいつもの足運びができないので、更に歩くスピードが落ちる。樹林帯の合間から谷川岳の岩壁が顔を覗かせてきた。もう少し頑張ればもっとよく見えるはずだと自分を励まして、靴の中敷きを抜いたり、テーピングを厚くしたり、靴下をもう一枚履いて歩くのだが、とにかく痛みが半端じゃない。
・・・簡単に言うと、心が折れてしまいました。はい。4時間ほど頑張ったが、とてもじゃないがこの痛みに耐えて清水峠までたどり着けるとは思えなかった。ましてや翌日、隣に見える谷川岳の頂上まで行くことは精神的にも肉体的にも不可能だと思った。
誰かが言っていた。「単独行ってのはなぁ、孤独に耐え、苦しさに耐え、疲れに耐える修験なんだ。単独で山に行くということは、山岳信仰の修験者としての道を歩むことなんだよ。」と。だが、私はそんなつもりは毛頭ない。楽しめないならやめるべきだ。足の痛みも含めていろいろな意味で今回の山行には楽しむのに必要な要素が足りなかったのだろう。
しかし、この靴どうしようかな・・・。ヤフオク行き・・・かなぁ。でも一度履いた靴は売れないか・・・。俺だったら買わないもん。